20 Apr. 2012

オペラの楽しさ Part4

by k.mitiko


私が今一番好きなオペラ歌手は、メゾソプラノのエリーナ・ガランチャ。作年の
METライブビューイングを観たことがきっかけで、いつのまにかインターネットで
追っかけをしています。


オペラのヒロインはソプラノで、圧倒的にソプラノが中心の作品が多く、メゾソプラノの主役と言えば
「カルメン」や「サムソンとデリラ」が有名です。それ以外は「フィガロの結婚」のケルビーノなどのズボン役
(男装)があり、主役のソプラノ歌手を支える役どころが多いようです。


長い間色々なオペラを観てきましたが、メゾソプラノの歌手が好きになったのは初めてで、ネット時代の
恩恵で、YouTubeでエリーナ・ガランチャの歌や舞台を観たり聞いたりする中で、急速に惹かれていきました。


エリーナ・ガランチャは1976年ラトヴィアの音楽一家に生まれ、ラトヴィアの音楽学校で学び、卒業後
ドイツの歌劇場に参加します。1999年フインランドの声楽コンクールに優勝し、その後活動の場を
広げ、2003年以降ウイーン国立歌劇場、ザルツブルグ音楽祭など、世界の主要な舞台で活躍を
続けています。


エリーナ・ガランチャの魅力はなによりも伸びやかな美しい声で、耳に心地良く、思はず聞きほれて
しまいます。


天はニ物を与えずと言いますが、美しい声に美しい容姿、それに確かな演技力、私はネットによる
鑑賞でたちまち惹きつけられてしまいました。



メゾソプラノは役柄がかなり制限されてしまいますが、リヒャルト・シュトラウスの「薔薇の騎士」の
オクタヴィアン(ズボン役)は好評だったようです。


同じズボン役のベッリーニの「カプレーティとモンテッキ」ではエリナ・ガランチャのロメオ、
アンナ・ネトレプコのジュリエットで共演して高い評価を受けました。


「カプレーティとモンテッキ」はシェクスピアの有名な戯曲と題材が共通のルーツを持つ
「ロミオとジュリエット」ですが、二人の恋物語よりも両家の争いに力点が置かれたオペラ
になっているようです。



ロッシーニの「チェネレントラ(シンデレラ)」は童話のシンデレラとは少し違うようですが、
魅力的だった舞台にもかかわらず、エリーナ・ガランチャは物足りなかったようです。


金髪碧眼のエリーネ・ガランチャにはキャラクターとしては似合っていたようです。


「オペラの楽しさ3」で紹介しました「アンナ・ボレーナ」のメトロポリタン歌劇場公演では、エリーナ・ガランチャは
体調の関係で出演できなくて残念に思いましたが、ウイーン国立歌劇場公演ではアンナ・ネトレプコと
共演して大きな話題になりました。


エリーナ・ガランチャとアンナ・ネトレプコは「黄金のコンビ」として欧米では大人気のようです。


エリーナ・ガランチャの名を高めたのは「カルメン」で、すでにローマ、ロンドン、ミュンヘンで圧倒的な成功を収め、
「今日の私たちのカルメン」(オーストリア・ニュース)と讃えられています。


色白でブロンドの髪のラトビア美女が、髪を黒くして肌も浅黒く見えるようになって、すっかりスペインの魔性の女に大変身。


2010年1月のメトロポリタン歌劇場での公演が録画されて、私たちも鑑賞できるようになりました。


容姿と声の美しさに加えてパワーフルな表現力はまるでカルメンが乗り移ったようです。


エリーナ・ガランチャは踊りの心得があるようでニ幕の冒頭での歌いながら踊る姿には圧倒されました。
共演のドンホセ役のロベルト・アラーニャはフランス出身のテナーで、息のあった舞台を見せていました。


3幕までの煙草工場の女工のカルメンが4幕では闘牛士エスカミリヨの女として野性味と美しさに、気品と
ゴージャスさが加わって、エリーナ・ガランチャのカルメンになっています。


エリーナ・ガランチャのカルメンはいつも凛としていて、下品すれすれのことをしていても
下品になららない気高さを感じさせます。


エリーナ・ガランチャは歌はない時でも存在感があり、その目力が内面の熱い思を表現して、表面は
クールなガランチャならではのカルメン像を表現していました。


今まで映画やオペラなどで数多くの「カルメン」を見てきましたが、エリーナ・ガランチャのカルメンは
まさに「今日の私たちのカルメン」だと思いました。

ガラコンサートより


(オーストリアのウイーン国立歌劇場での大舞踏会で歌われた「サムソンとデリラ」のアリア
エリーナガランチャの周りには、その舞踏会でデビューした娘たちがいます。)

ソプラノ歌手ばかりを追っかけていた私のオペラ鑑賞の世界を広げてくれた
エリーナ・ガランチャ。

これからどういうオペラを見せてくれるか楽しみです。