23 Sep. 2015




5月連休の旅(11)足立美術館



一夜明けた安来の朝です。




この「さぎの湯荘」は2007年5月に父と来た思い出があります。
何しろ道を挟んだお向いが足立美術館。
移動が楽ということでこの旅館を選んだのでした。
徒歩30秒です。




地元出身の実業家足立全康(ぜんこう)氏(1899年〜1990年)が
71歳の1970年(昭和45)に設立した足立美術館は
近代日本画の巨匠たちの作品を1200点余も収蔵する美術館です。

外国の庭園専門誌のランキングで常に日本一の座をキープしていることでも有名なため
つい目はお庭の方へ向いてしまいます。
それではお庭の方から先に鑑賞致しましょう。
(下記の地図の青い数字は撮影地点です)






① 庭園への入口


美術館に入ると順路の窓から
見事に造園された広々とした庭園が見えて来ます。

「苔庭」「枯山水庭」「池庭」「白砂青松庭」などに分かれており
面積は5万坪にも及びます。





② 苔庭

3方を建物に囲まれた一角が
白い砂地に苔を配した苔庭になっています。
木立の中に東屋の屋根が見えます。




この美術館を創設した足立全康氏の銅像も
ここに置かれています。





③ 茶室「寿立庵」前庭


お茶室「寿立庵」の前庭です。




青々としたつくばい周りの様子です。




石畳の先に味わいのあるお茶室の門が見えます。




この日お茶室は混んでいて中に入りませんでしたが
2007年5月に当時86歳の父と訪れた際の画像で、少しご紹介します。
こちらはお茶室から庭を拝見したものです。

                   参考 2007年撮影


お座敷に上がってお茶を頂きました。

                                  参考 2007年撮影



④ 枯山水の庭

さらに順路を進むと、美術館のメイン庭園のひとつ
「枯山水庭」に面したロビーへとやってきます。
全面ガラス張りを通しての鑑賞です。

                           参考画像



見渡す限りすべてが
人の手で完璧に整えられて、葉っぱ一枚落ちていませんでした。

借景になっている左奥と右手前の山の間には
普通に国道が通り、畑もある等とはとても信じられないような
別世界が出来上がっています。




右端に造られた渓流の奥に
苔庭からも見えた「茶室 環翠庵」が建っていました。











⑤ 喫茶室 翠(みどり)


美術館の中央にある編集長ご推奨の喫茶室です。

             https://www.adachi-museum.or.jp/cafe        参考画像



窓から枯山水庭のパノラマを堪能する絶好の場所です。
噂の1杯1000円のコーヒーも美味しいんです。




窓の外、真近に見る枯山水です。






⑥ 生の額縁


喫茶室を出た廊下にある
窓枠を額縁に見立て、生の景色を絵に見立てた「生の額縁」です。
太い木の幹と庭のコントラストが素敵です。







遠くには亀鶴の滝が見えています。
亀鶴山の岩肌に造られた、高さ15mの人工の滝です。





⑦ 池庭

豊富な地下水を引いた澄んだ池の中を
たくさんの大きな鯉が泳いでいます。




池庭はテラスに出て外気の中で鑑賞です。
やはりガラス越しよりもずっといいですね。








⑧ 茶房「寿楽庵」

こちらは寿楽庵の近くに造られた小さな中庭です。




寿楽庵の内部の様子を
2007年の画像でご紹介しましょう。

このように2双の掛け軸に見立てた壁の四角い穴から
外の景色を鑑賞するようになっていました。
紅葉の頃はさぞ美しいことでしょう。
足立全康氏の発案だったそうです。






⑨ 白砂青松庭


美術館の一番奥にある「白砂青松庭」です。
ここは建物の外のテラスに出て鑑賞できるようになっていました。
白い砂に黒松が美しく映えています。




この庭園は横山大観の作品「白沙青松」をイメージして造られたとのことです。

「白沙青松」横山大観  足立美術館蔵


先ほど見た亀鶴の滝です。
外のテラスからの鑑賞だけあってここからの方がよく見えました。




1978年に開館8周年を記念して亀鶴山に造られたこの亀鶴の滝
横山大観の作品「那智乃瀧」を倣った
高さ15mの苦心の人工の滝です。

       
「那智乃瀧」横山大観 1915年 足立美術館蔵



池を挟んで、左側に赤松、右側に黒松が植えられていました。




120点余の横山大観の作品を収集し
その絵画の世界をこうして庭園に再現した
足立全康氏の並々ならぬ情熱に敬意を表しました。

美術館では
庭園の状態を最高の状態に維持するために、絶え間なく植え替えや剪定が行われ
毎朝職員全員で掃き掃除をしているとのことです。




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このあと、2階の日本画の展示室の方へ行きました。

15歳で炭運びから身を起こして事業家の道を歩んでいた足立翁が
たまたま観た横山大観(1868〜1958年)の作品に心酔し
以来その収集に財力を投入したことがコレクションのきっかけだったそうです。

展示室の多くの日本画の巨匠の作品の中でも
大観の作品の印象が強く残りました。

最後に収蔵作品を大観を中心にサイトから選んで少しお伝えします。
今回展示されなかった作品も含みます。




「無我」1897年(29歳)足立美術館蔵 
禅の悟りの境地を、無心の童子によって表現したもの。




「愛宕路」 1921年 (53歳)足立美術館蔵 




「神州第一峰」1932年(64歳)足立美術館蔵



 
 

「朝嶺・暮嶽」1932年 (64歳)足立美術館蔵




「麗日」1939年 (71歳)足立美術館蔵




『海潮四題・秋』1940年 (72歳)足立美術館蔵




「雨霽る(あめはる)」1940年(72歳)足立美術館蔵
大観の水墨画の中で5指に入る名作。
雨後の霧が晴れ上がって行く山並みと富士山を描いています。




「群青富士」 1917年 (49歳) 静岡県立美術館蔵
足立美術館蔵ではありませんが富士をもうひとつ。
大観が琳派に関心を寄せていた若い頃の作品。斬新ですね。



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他の日本画家の収蔵作品を少しご紹介します。



「春雨」1942年 川合玉堂 足立美術館蔵




「待月」1944年 上村松園 足立美術館蔵




「楊貴妃」1951年 小林古径 足立美術館蔵





「木蓮」1919年 小林古径 足立美術館蔵





「唐犬図」1941年 橋本関雪 足立美術館蔵




このほか陶芸館には北大路魯山人や河井寛次郎等の陶芸家の作品も収蔵されていました。

次回行く時があれば空いた平日を選んで、お庭と作品をゆっくり鑑賞したいと思います。



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美術館の送迎バスで鷺の湯温泉を後にし、JR米子駅まで送ってもらいました。
 



米子へ来たのは始めてでした。
前回は福岡空港と出雲空港を往復したのでした。
 



2015年5月連休の旅も無事終わり、米子空港からANA機にて東京へと帰りました。
 



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後日編


旅行後9月になって、松江名物の鯛めしのお店が東京にある事を知り、
食べ損なって残念に思っていたので、喜んで旅の仕上げに行ってみました。

やってきたのは日本橋COREDOの中にある「皆美(みなみ)」です。
同じ名前の旅館が玉造温泉と松江にあり、ここはその系列との事です。

 



アラカルトでお願いした島根牛のローストビーフ。
 



お昼時のお値打ち価格の鯛めし御膳
 



胃腸が弱かった松江の7代藩主、松平不昧公の考案による、やんごとないお茶漬けとのこと。
蒸し鯛とゆで卵の黄身白身の裏ごしと、大根おろしをご飯にのせ
ネギ、ワサビ、焼き海苔を添えて
熱い出し汁をかけたものでした。
 



というわけでお読みいただきました「5月連休の旅」は
念願の鯛茶漬けで締めくくることが出来ました。
だんだん。


ー終わりー