21 Jan. 2015

「世界遺産」

by はる

1月16日の閣議で「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を世界文化遺産としてユネスコに推薦することが了承されました。

 昨年の日本推薦の世界遺産は、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」で、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、
 山口県、岩手県、静岡県の8県から28施設が推薦されているので、長崎県としては2年連続の世界遺産推薦となります。

 28施設のなかで長崎県関連は8施設がありますが、その中に端島炭鉱(軍艦島)があって、知名度からいって目玉といえるようなものです。

 軍艦島は何度も島の周りを船で周回したことはあったのですが、先日、乗船客でいっぱいの観光船に乗って初めて上陸しました。

 そこで、説明を聞いて軍艦島が軍艦島と呼ばれている所以、つまり軍艦に似た特異な形状を形成しているコンクリートの建物群は
 
 指定されてないことを初めて知りました。

なぜか・・?

風化しているアパートや公共施設などは昭和期に建設されていて建設年代的に申請タイトルの「明治期日本・・・・・・」に合わないからです。

では、どこが指定されているかというと明治期に造られ、今でもわずかに残っている約50メートルの岸壁だけなのです。 

 これでは世界遺産は軍艦島ではなくて「軍艦島の岸壁」になります。

この岸壁の50メートル程度が世界遺産予定

軍艦島は石炭採掘のため東シナ海に浮かぶ小さな岩礁に無理やり造られた島でその役割を終えれば静かに消滅するはずでした。

 世界遺産の話が持ち上がったとき、長崎市や長崎県は指定されることに猛反対でした。

 世界遺産となれば、どうしても保存という話題になって長崎県議会が調査したところ、とりあえず144億円必要との結果でした。 

 もともと、外洋に孤立している島で台風ともなれば島の最上部まで島全体が荒波に洗われるところです。今後、風化・浸食が進めば
 
 保存費用は加速度的に膨らみます。

 長崎市の年間予算は約2100億円、税収は500億円しかありません。

 無人の離島にそれほどの費用をかける必要があるのか・・・当然の話です。

波によって浸食された岸壁

 

 いま、軍艦島は長崎観光のドル箱です。渡航業者が何社もできて新造の観光船が休日ともなればピストン輸送で送迎しています。

 長崎市の宿泊、飲食、物販などの経済効果は出ているでしょうが行政が必要とされる経費に比べると微々たるものでしょう。

長崎港には多数の軍艦島への渡航船

  上陸後は、旧アパート群などは崩落の危険があるので観光客が立ち入れるのは安全が確保された外周道路だけです。

 説明員の話では年々、崩落場所があるというので安全を考えたら当然の処置でしょう。

しかし、著名な俳優やレポーターが軍艦島を取材したときに「あんただけよ」とばかりに「特別の許可を得て取材しました」との

 テロップとともに一般客立ち入り禁止区域の映像があふれていることです。

案の定、「なぜ、我々は内部に行けないのか」との不満が出ていました。

 

さて、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」に話を戻します。

 ここでは長崎県から国宝・大浦天主堂など12の施設・地域、熊本県から天草の「﨑津天主堂」に話を戻します。

 その1地域が推薦されています。

推薦リストを見てみると素晴らしい教会が何か所も登載されてないことが分かります

 天草には﨑津教会、大江教会と有名な教会がふたつありますが、このどちらも教会そのものの名前はなくて「﨑津集落」で登載されています。

ここに至った詳しい事情は知りませんが教会側がリスト登載を拒否したことは想像できます。

 野崎島の野首天主堂のように住民がすべて立ち去って天主堂だけがポツンと残されたところなら「遺産」とい言っても差し支えないでしょう。

しかし、信者の方々が、日々、お祈りをささげる教会を遺産と呼ぶのはどうかと思いますが、それよりも、近年、ミサの最中にも押しかけ

るような常識を知らない観光客の増加がその背景にあるのでしょう。

﨑津をはじめ教会のある地区は駐車場、トイレ対応もあまりできてないところがほとんどです。

なによりも高齢化、過疎化による信者の減少がいちばん問題で、10年ほど前、﨑津教会が老朽化による雨漏りで修理が必要になった

 とき信者戸数が少なくて費用を出せなくなって全国に募金を呼びかけたことがあります。こんなとき、行政は政教分離の名目でお金を出しません。

 教会側は苦労して、やっと修理を終えました。

来年にでも世界遺産に決定して外国人を含めて多数の観光客が押しかけたらどうなるのでしょうか。

せめて受け入れ側にもお金が落ちて、施設などの維持費用が出せる仕組みでも出来たらいいのでしょうけど。

畏敬の気持ちを持って静かに教会などを参観しようと思ったら、世界遺産の正式決定前がいいでしょうね。

 

※教会等の参観には各地の観光ボランティアと観光タクシーの利用をお勧めします。

 どちらも基本的に信者さんのボタンテァや信者さんの運転手を手配するはずです。

 いろいろなお話や教会内部の参観に心強いと思います。